4.-⑥ 尿膜管遺残(お臍が痛い・膿が出る)

お臍が感染して膿が出たり痛みがあったりする病気を臍炎(さいえん)と言います。臍炎を繰り返す場合、原因として尿膜管遺残症が疑われます。

尿膜管とは、胎児期に胎児の尿を母体に流すための通り道で、膀胱とお臍をつないでいます。通常、出生・成長とともに尿膜管は閉鎖しますが、この尿膜管が生後もとじずに残っている状態を尿膜管遺残と言い、感染やがん(尿膜管がん)の発生母地となることがあります。
尿膜管遺残症の診断や、臍炎の程度を調べる目的でCTやMRIなどの画像検査を行います。尿膜管遺残を伴わない臍炎は症状も軽く、抗生剤内服や軟膏での治療で十分ですが、尿膜管遺残を伴う臍炎の場合には、感染が尿膜管内に及び感染が重症化したり頻繁に繰り返してしまう場合があります。このような場合には、抗生剤加療に加え小切開による排膿を行なったり、感染が落ち着いたところで手術(尿膜管摘除術)を行なうこともあります。

腹腔鏡下尿膜管摘除術

尿膜管摘除術は従来、臍から恥骨まで真っ直ぐに切開し、臍から膀胱までの尿膜管を一塊に摘除する開腹術が行われていましたが、当院では腹腔鏡を用いた低侵襲手術を行なっています。腹腔鏡下尿膜管摘除術では3ヶ所程度の5mmほどの穴で手術を行なう事が可能です。臍も摘出する場合は臍形成術も同時に行ないます。
尿膜管がんの手術も、比較的早期のがんであれば腹腔鏡手術で対応しています。

<体を横から見た図(男性)>

尿膜管遺残 腹腔鏡手術(膀胱部分切除を伴わない場合)

1日目 入院 検温、血圧測定、採血など
21時以降は食事ができなくなります
2日目 手術当日
手術終了後はベッドで安静に過ごしていただきます
3日目 朝から飲水、歩行可能です
4日目 朝から飲水、通常のお食事が可能になります
5日目以降 退院予定

※経過により適宜変更があります。